黒岩先達さんの伝えた「吾妻の回杖」で、一番印象に残っているのは
「こりゃ弾丸槍(やり)だぞ。」
という言葉。
「杖なのに何で槍?何で弾丸??」
という疑問を差し挟む間も与えずに、さっと動いた先達の杖がコン、ココンと切通の岩の一ヶ所を撃った。
身体は常に山道を動き続け、眼にも留まらぬ速さで振りだした杖は、まさに弾丸みたいに直線に走り岩角を砕いた!
その時はじめて先達は武術に関しても尋常ならざる力量をお持ちなのだ、と覚った。
順心斎先生もそうだが、本当に一技を持っている人は、いろいろな理由から世に忍んでいることが多いので言動には気を付けなきゃな、と自戒の念を込めるのである。
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